食中毒は一年を通して発生しています。ですが実際どんな食中毒が多く、どの原因に対して予防を意識していけばいいのかわかりづらいのが現状です。
小さなお子さんを持つママさんにとって、食中毒は大敵といって良いでしょう。今回厚生労働省が発表している食中毒統計を参考に、食中毒原因物質ランキングを作ってみたので、そこから食中毒の予防対策を考えてみました。
もくじ
2 食中毒原因物質ランキング
3 家庭での食中毒危険ランキング
4 食中毒の家庭予防
5 まとめ
1 食中毒とは
食中毒とは、有害有毒な物食べたときに起こる、下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの総称。アレルギーとは違います。
その原因は大きく分けて4つあり、微生物(細菌、ウイルス)、自然毒(植物性、動物性)、化学物質、寄生虫になります。流行する季節や原因はそれぞれ違いますが、食中毒は一年中起こっています。
種類 | ||||
---|---|---|---|---|
微生物 | 細菌 感染型 病原性大腸菌O157、カンピロバクター、サルモネラ菌 | 細菌 毒素型 ウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌 | ウイルス ノロウイルス、ロタウイルス | |
自然毒 | 植物性自然毒 毒キノコ、ジャガイモの芽 | 動物性自然毒 フグ、貝類 | ||
寄生虫 | アニサキス、クドア | |||
化学物質 | 農薬 | 重金属 | 洗剤 |
厚生労働省の発表では平成28年の食中毒事件数は1139件あり、患者数は20252人でした。そのうち死者数は14人で、医療技術や簡単に情報手に入る現代でも、少なからずこうして毎年死亡者がでてしうまうのが食中毒の怖さでもあります。
ただこの数字は保健所や医療機関の申告を元に作られたデータであり、申告がなかったものに関しては入っていません。なので潜在的な数はもっと多いのではないかと言われています。
2 食中毒原因物質ランキング
食中毒の原因は微生物、自然毒、化学物質、寄生虫と原因も様々ですが、この中でも発生件数が多い原因とは一体どんな原因物質なのでしょうか。ベスト5を厚生労働省の平成28年の食中毒統計から見てみます。
第2位 カンピロバクター 微生物細菌 29.8%
第3位 アニサキス 寄生虫 10.9%
第4位 自然毒 植物性 6.8%
第5位 黄色ブドウ球菌 微生物細菌 3.2%
食中毒統計表から見るランキングはこうなりました。1位のノロウイルスと2位のカンピロバクター菌で全体の約6割を占めているので、この二つの発生件数や患者数は断トツに多いです。
日本で起きている食中毒の内、細菌が原因で起きている食中毒が42.1%、ウイルスが原因で起きている食中毒が31.3%なので、微生物が原因で起きている食中毒が全体の7割以上というのがわかります。しかもその内訳のほとんどがノロウイルスとカンピロバクターなのがわかります。
意外だったのが年を追うごとにアニサキス(寄生虫)の食中毒が増えている点です。これは近年輸送技術や冷凍技術の向上により、本来死んでしまうサバやイカに寄生したアニサキスが、生きたまま食卓に届いてしまう影響あります。
美味しい海産物が鮮度を維持したまま、都心や内陸部でも手に入るのは嬉しい事ですが、思わぬ弊害も出てきてしまっています。
3 食中毒危険ランキング
このランキングは私が子育てをする上で危険だなと思った、特に意識したい菌などのランキングです。乳幼児が居るママさんパパさん必見です。
実際に発生している件数は少ないものの、毒素の強さ、感染力、認識の甘さなどが原因で起こっている食中毒なので参考にしていただければ幸いです。
第2 ボツリヌス菌
第3 ウェルシュ菌
腸管出血性大腸菌(O157など)
腸管出血性大腸菌と言ってもピンと来ない人も多いと思いますが、O157と言われたらわかるでしょう。私が子育てや家事をしていて、家族にこれだけはなってほしくないなと考えている食中毒です。
この菌は食中毒を発症するのに必要な発症菌量が、他の食中毒菌に比べて少なく、わずかな菌量で発症してしまう菌です。また潜伏期間も長く、感染経路や感染を知らずに汚染食品を更に広げてしまう恐れがあり、二次感染や集団感染を引き起こす可能性があります。
この菌で犠牲になってしまうのは、身体の弱い未成年やお年寄りに多いので、そういった点でも注意が必要な菌と言えるでしょう。
ボツリヌス菌
先日、生後6ヶ月の男児に離乳食の際、はちみつをジュースに混ぜて飲ませた結果、乳児ボツリヌス症で死亡してしまった事件がありました。
一見栄養価も高く身体に良さそうなイメージのハチミツですが、生後1年未満には与えないようにと、母子手帳に記載があり、調理師試験の問題にも出ているくらいの知識なのですが、まだまだ世間には浸透していないように感じます。
この菌の厄介なところは菌自体より菌から「芽胞」というもの作ってしまうことです。簡単に言えば膜や繭の様なものです。この芽胞は熱に強く120℃でも死なないとされています。芽胞から出される毒素は、自然界の中でも最強クラスの毒だと言われています。
原因食品としてはハチミツ以外にはほとんど事例がないので、意識すれば防げますが症状がひどい場合は死亡する可能性もある食中毒菌なので、注意する必要があるでしょう。
ウェルシュ菌
ウェルシュ菌はカレーやシチューなどを常温で放置していると、増殖します。一晩寝かせたカレーは確かに美味しいですが、こういったリスクもあるので冷蔵庫保存がいいでしょう。
この菌もボツリヌス菌と同じく芽胞を作ります。熱に強いので再加熱しても殺菌できません。加熱すれば大丈夫という認識が食中毒を起こす原因ともなるので、こちらも要注意な食中毒菌です。
4 食中毒の家庭予防
ランキングを見ても分かる通り、微生物(細菌、ウイルス)が食中毒のほとんどを占めています。要するにこの細菌とウイルスに対する予防が、家庭で起きる食中毒を防ぐ大きなポイントです。
食中毒を起こさない為の予防法として広く知られているのが、原因となる菌を『つけない、ふやさない、やっつける』です。この三原則を実践して食中毒を予防します。
菌がつかないよう手洗いや食材の管理、菌が増えないよう食材の冷蔵保存やキッチン用具の衛生管理、菌が悪さをする前に殺菌や消毒をすることを意識しましょう。
家庭ではまな板や布巾など綺麗にしているつもりでも、多くの菌が残っていて見落としがちです。熱湯による煮沸消毒や、市販の漂白剤などを使って、毎日予防に努めましょう。
面倒ですが乳幼児は私たち大人の様な強い身体ではありません。食中毒菌の影響も受けやすいです。大人でも時と場合によりかかってしまうので、子供が小さいうちは徹底するにこしたことはないと思います。
5 まとめ
・食中毒の原因は大きく分けて、微生物(細菌・ウイルス)、自然毒(植物性・動物性)、化学物質、寄生虫の4つある。
・食中毒原因物質の半数以上は微生物が原因で、主にノロウイルスとカンピロバクターが占めている。
・近年ではアニサキスが原因の食中毒が増えている。
・食中毒を予防するには菌を「つけない、増やさない、やっつける」の三原則を徹底する。
いかがでしたか?ランキングにしてみるといかに微生物(細菌、ウイルス)が原因で食中毒が起きているかが分かりますよね。ですが件数や人数が少ないだけで、自然毒、化学物質、寄生虫が原因で食中毒は起きています。
危険ランキングでもお伝えした、O157や芽胞を作り熱にも強いボツリヌス菌やウェルシュ菌が原因の食中毒も毎年起きています。
ちょっとした知識や行動で命を守れることもあるので、今回の食中毒原因物質ランキングや食中毒危険ランキングを参考に、食中毒に対する予防対策を行っていきましょう。
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