野菜の中でも、常備野菜の一つとしてとして日本でも親しまれているのがジャガイモです。あなたも好きですよね。
そんなみんな大好きジャガイモですが、放っておくと勝手に芽が生えてきちゃいますよね?
問題はそのジャガイモの芽に毒がある事なんです!
これは別に冷やかしでもなんでもなくて事実です。
今では一般常識となっていますが、自炊を始めたばかり方や慣れた人でも知らない場合があると思います。
今回は今一度、ジャガイモの芽の毒について、対処法などを交えて野菜ソムリエの僕が徹底解説します。
ジャガイモの芽の毒
まず冒頭でもお伝えしましたが、結論から言うとジャガイモの芽には毒があります。
ジャガイモ自体はとても身近な野菜なので、知らないと気づかないうちに食べて食中毒になってしまう可能性があります。
実際、毎年のように学校の菜園などで収穫されたジャガイモが原因で、食中毒事故が発生し問題となっています。
ですから、この記事でしっかり知識をつけて、ジャガイモを今後も美味しく食べていきましょう。
- ソラニン
- チャコニン
この2つは専門的にはポテトグリコアルカロイドと言われる毒で、名前の通りジャガイモに含まれている毒です。
ここからは更に詳しく2つの毒に解説していきます。
ソラニン
この名前あなたも一回くらいは聞いたことあるかもしれませんね。
ソラニンというタイトルの漫画があり、2010年には女優の宮崎あおいさん主演で実写映画化され、主題歌「ソラニン」もヒットしました。
そんなこんなで名称だけは知られているかもしれませんが、実際ソラニンって何?ジャガイモの芽の毒らしい!くらいで、実際あなたも詳しく知らないのではないでしょうか。
ソラニンとは、神経に作用する毒で主にジャガイモの芽や皮などに含まれている物質です。自然界にある天然の毒で、植物性自然毒に分類されます。
ちなみに動物性自然毒には、フグ毒や貝類の毒が分類されます。
ソラニンの中毒症状
ソラニンを誤って摂取してしまうと中毒症状を引き起こします。心拍数の上昇、吐き気、嘔吐、頭痛、下痢、大量に摂取した場合は昏睡状態や死亡する場合もあります。
僕が調理師免許を取得する際にも、実際参考書や試験でも取り上げられるほど、ソラニンは私達に身近な毒なんです。
厚生労働省のホームページでも「自然毒のリスクプロファイル」として一般消費者にも注意換気されています。
ただやっぱり飲食業や医療関係者ではなければ、そこまで知らなかったり、気にしていないかもしれませんね。
チャコニン
続いてチャコニンです。名前は可愛らしいですがソラニン同様に毒の名前です。
ジャガイモの芽や皮には、ソラニンの他にも、このチャコニンという毒も含まれています。
以前はジャガイモの毒と言えばソラニンでしたが、ジャガイモに含まれている成分量を見ると実はチャコニンの方が多いんです。
チャコニンはソラニンより危険かも
チャコニンはソラニンよりも多くジャガイモには含まれているとお伝えしましたが、実は…
毒の作用がソラニンより強いという研究報告もあり、今ではソラニンよりも重要で危険だと考えられています。
チャコニンの中毒症状は、ソラニンとほぼ同じではありますが、最悪の場合は命を落とす可能性があるので甘く見てはいけません。
私もソラニンの危険性は認識していましたが、恥ずかしながらチャコニンのことは最近まであまり知らなかったので、今後はソラニンと同様に注意していきます。
ジャガイモの芽や皮はどこまで取ればいい?
ここまでジャガイモの芽の毒、ソラニンとチャコニンについてお伝えしてきましたが、やはり毒があると分かっている物を食べるのは、なんか不安になりますよね。
ですが安心して下さい。実はジャガイモの芽や皮の毒を気にしなくても良い方法があります。
それは芽や皮を取ってしまえば良いんです!
えっ?それだけと思われるかもしれませんが、単純に芽や皮を取り除くだけでソラニンやチャコニンの危険度はグッと下がります。
ただこれは一般常識の範囲で、あなたが気になるのは実際芽はどこまで取れば良いのかということだと思います。
ジャガイモの食中毒
そもそもジャガイモの毒(ソラニン、チャコニン)は、ほとんど芽や皮に多く含まれています。
芽に関してはあなたも実感があると思いますが、放っとくとすぐ出てきます。あえて日当たりの良いところに置いた場合、1週間もしないうちに出てきます
それから皮に関してですが、皮と言っても普通の皮部分でなく、日光に当たり緑色になってしまっている皮です。
あまり市販されているジャガイモでは見る事は少ないですが、農家さんの直売所やご近所さんからのお裾分けでもらうような場合は、時々見かけます。
こういった芽や皮を適切に処理しないで食べてしまうと、大きな食中毒事故につながってしまうので、やはり芽をえぐり取ったり、皮を剥くという下処理が大事になってきます。
ジャガイモの芽や皮はどこまで取ればいいの?
ただ芽を取るのは良いけど、どこまでとれば安心なのか。取りすぎると食べる所なくなっちゃうような気もしますよね。
ここからは実際私が普段からどのように芽や皮を処理しているのか、写真で紹介していきます。
まずは芽の取り方です。
ジャガイモの芽の取り方
まず芽がそもそもどこなのかわからない人もいると思います。画像では丸で囲った箇所が芽や芽が生えてくる箇所です。
実際生えていれば一目瞭然なんですが、自然の物ですから毎回生えているわけではありません。かと言って芽を生やしてから処理するというのはなんだか違いますね。
ジャガイモの種類にもよりますが、基本的にジャガイモの凹んだ部分に、芽が生えてくるポイントがあるので、意識して見てみましょう。
芽の場所が分かったらあとは簡単です。画像丸部分を包丁のアゴと言いますが、このアゴ部分を利用して、えぐり取ってあげるだけです。
ジャガイモの皮の剥き方
では続いて皮です。今回は緑色の皮をしたジャガイモを見つけることができなかったので、普通の皮で解説していきます。
またご家庭ではピーラーを使って皮を向く方も多いと思うので、ピーラーで処理した場合を想定して解説していきます。
何度も言うように芽の他に、緑色に変色した皮を見つけたら、そこにはソラニンやチャコニンが多く含まれています。しっかりその部分を剥きとっていかなければなりません。
場合によってはピーラーで一回剥いただけだと完全に取り除けていない可能性があるので、ジャガイモ本来の白い色が出てくるまでは、しっかり剥いてあげましょう。
実際、経験上二回ほどピーラーをかければ、かなり剥けているはずなので、色を目安に剥いてみて下さい。写真のような白さが現れていれば安心です。目安は1mmくらいです。
もちろん皮を剥いた状態のジャガイモは、普通のジャガイモと変わらないので、安心して食べられます。
ジャガイモの芽に対する加熱効果は?
巷ではジャガイモの芽の毒は、加熱によって予防出来るといった考えがあります。
基本的にイモ類(山芋以外)は生食できませんから、食べる際はあなたもきっと加熱することになるでしょう。
ただ加熱と言っても、茹でる・煮る・蒸す・炒める・揚げる、など方法は様々で、加熱方法や加熱時間などで、ソラニンやチャコニンの量や毒性は抑えられるのでしょうか?
コレに関しては、農林水産省のホームページで「ソラニンやチャコニンの加熱調理による影響」という項目でより詳しく解説しています。
茹でる煮る
15分茹でた場合のソラニンやチャコニンの減少は、効果的といえるほど減りはせず、150分(2時間30分)沸騰したお湯で茹で続けても、分解は見られないという結果でした。
揚げる焼く
一方で茹でる(100℃)より高い温度で加熱した場合はどうでしょうか。
170℃で5分揚げた場合、ソラニンとチャコニンの濃度にばらつきが大きくあり、やはりこちらも有意とは言えない結果でした。
また170℃のオーブンで15分加熱した結果、ソラニンとチャコニンの分解を確認できた為、どうやら約170℃の温度で、ソラニンとチャコニンの分解が始まると考えられています。
210℃で10分揚げた場合では、かなりの低減が確認できて効果的ではありますが、やはり全てがなくなったわけではなく、毒は残ってしまった状態だったそうです。
なので、最初の下処理の段階で皮や芽を取ってしまう事が最も効果的なソラニンとチャコニンへの予防法です。
もちろん適切な処理のあと、高温で揚げたりといった調理は、更に予防効果を高めると思いますので、覚えておきましょう。
いくら高温でソラニンやチャコニンが減少するからと言って、ご家庭で高温で長時間の揚げ物は危険です。プロの厨房には油の温度を一定に保つ設備があるので、美味しく素早く安定的に揚げ物が提供できています。
もしジャガイモの芽を食べてしまったら
ここまでジャガイモの芽の毒、除去方法や加熱効果についてお伝えしてきました。
やはりどんなに気をつけていても、毎年のように全国ではソラニンやチャコニンでの食中毒が起きています。
始めにお伝えしたようにその中毒症状は、吐き気や頭痛、心拍数の上昇、下痢などの症状があり、最悪の場合は昏睡状態や、死に至ります。
病院の診察を受ける
少しでもジャガイモを食べた後にこのような症状を感じたら、迷わず病院の診察を受けましょう。
発症する場合、食後約20分~30分後から症状が出始めるので、直前に食べた物の中にジャガイモがなかったか思い出してみましょう。
たかがジャガイモと考えていると取り返しのつかない事態に陥ってしまうかもしれません。注意が必要です。
子供は特に気をつける
ジャガイモの毒は大人も気をつけるのはもちろんですが、子供は特に気をつけなくてはいけません。
というのも、大人が中毒になる量と子供が中毒になる量は違い、子供は少ない毒量でも簡単に食中毒を起こしてしまうんです。
一般的な成人でアルカロイド(ソラニンやチャコニンなど)の中毒量は200~400mgですが、小児はその10分の1の量、20mgでも発症する可能性があるので、大人よりも注意が必要です。
ただこの発症する毒量は、スーパーなどの市販されているジャガイモは検査されている為、あえて沢山食べない限りは達しない量だと思います。
素人のジャガイモは危険
何度も言うように特に注意が必要なのは、家庭菜園や学校栽培で作られた言わば素人が作ったジャガイモです。
発育不良などで、市販品よりもソラニンチャコニン量が多くなっている場合があり、収穫されてもプロの目を通りません。
なのでご近所さんや親戚からのいただき物などは意識して調理(皮や目の除去)しましょう。
まとめ
・ソラニンやチャコニンの中毒症状は、食後20~30分後に表れ、目眩や吐き気、頭痛や下痢、最悪の場合死に至る。
・市販されているジャガイモは検査され毒量は少ないが、その後発芽した場合や、自家栽培の場合は注意が必要。
・加熱での毒の分解や減少はあまり期待できないので、下処理が大事になってくる。
・皮や芽をしっかり除去すれば安全に美味しく食べることが出来る。
いかがだったでしょうか。今回はジャガイモの芽の毒についてお伝えしてきました。
一般的な野菜で常備野菜にしているご家庭が多い中で、身近なジャガイモの毒。知っていれば過度に怖がる必要はないんですが、知らなければ怖い話だと思います。
市販のジャガイモと自家栽培のジャガイモの違いから、やはり毎年学校での給食や課外活動などで集団食中毒事故は起きています。
これは学校などでジャガイモが栽培しやすく、農業体験が生徒に教えやすい事が原因ですが、その結果として残念な事故が起きてしまいます。
給食を作るプロの調理スタッフが作っていても、時として起きてしまうという事を認識して、普段の生活や料理に活かしていって下さい。
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